S.S 様
20代後半
企業知財部勤務
2回
基礎・短答・論文パック
他の方の合格体験記で目にする「ホッとした」という感覚がよく分かりました。約2年半の受験生活がようやく終わった安堵の気持ちが大きいです。
私は企業の知財部に所属していますが、弁理士資格を持つ周囲の上司や先輩のお話を聞く機会が多々あります。そんな中で今後の知財キャリアを考えた時、資格取得が有効だと思いました。
企業に在籍していればインハウスとして活躍できますし、特許事務所への転職も可能です。「弁理士資格を取得することで、将来の選択肢が広がる」そう考えたのが、弁理士を目指した動機です。コロナ禍による生活の変化が本格的に勉強を始める契機となりました。
知的財産管理技能検定Ⓡを2級まで取っていましたので、それが弁理士試験受験の後押しにもなったと感じています。
はい。大学院では理学系の研究をしていました。そのため選択論文は免除となりました。
自分は特許の仕事に携わっていますが、明細書を書くなど何をするにも言葉を使います。読書や文章を書くことが好きなので、言葉に関わる仕事をしたいという希望がありました。その点、知財の仕事はぴったりだと思います。
発明やアイデアといった無形財産について、コミュニケーションを取りながら詰めていき、最後に文章としてアウトプットしますが、新たな発明を形にして具体化する過程にやりがいを感じます。
学習開始が2020年の5月で、2021年に短答式試験を突破、22年に論文式試験と口述試験に受かり、最終合格を掴むことができました。
実際に勉強を始めてみると、学習内容が会社での業務に活きてくるのを肌で感じられました。
資格を取れたら、法域全体を理解した上で仕事ができ、弁理士先輩とのコミュニケーションも円滑になる。関係者にさらに有益な情報を提供し、提案ができるようになる。「そうしたら毎日が楽しいだろうな」と思いました。
仕事で携わっている部分もあり、抵抗なく入っていけました。 また元々独学が好きで、できれば自分主体で学習を進めていきたいと思うタイプなので、基本的には講義ベースではなく、テキストを中心にして勉強していました。自分で勉強して、分からないところはピンポイントで講義を視聴するというスタイルです。 あとは条文に線を引きながら進めていきました。
大学時代でしょうか。授業にだけ依存するのではなく、自分で研究してフィードバックをかけ、合格に近づけるというやり方が自分にはフィットしていると感じます。
ここでは短答問題集が本当に役立ちました。15年分の過去問が掲載されているものですが、これをメインに学習し何度も回しました。
6冊からなる短答問題集。各肢の解説も充実しています
一度解いてみて怪しいところに付箋を貼り、次はそこだけを解くという形で取り組み、それを4~5回繰り返しました。
短答は「例外をいかに押さえられるか」という試験なので、そこの条文の読み方さえ慣れてしまえば、どんな問題が出たとしても条文に戻って、線を引いて、落とし込みをして、という形で解けるようになると感じました。もちろん基礎講座の条文の原則の理解が根底にあってこそのことです。
2021年の短答式試験は条約がしっかりできて、意匠商標もかなりできたため、大丈夫だろうなという感覚がありました。自分は短答が得意で論文が苦手なタイプだと思います。
暗記は得意ではないですね。
短答は推測で解いている部分がありました。60問ある中で、確信を持って解けるものは半分もありません。残りは「どっちだろう、分からないな」という感じです。そこで、「こちらの方が現実的に妥当ではないか」とか、「矛盾が起きないか」といった仮説を立てて選んでいきます。
あとは「自分が見たこともないような肢なら✕だろう」という推測も使いました。
過去問を何周もして解説部分を身につけていく中で、そうした判断がつくようになったと感じています。
短答式試験が終わるまでは「まだ論文としてアウトプットはしていない」という状態でしたが、実際に論文対策を始めてみると答案構成に悩むことがほぼありませんでした。
つまり、短答対策中にインプットした「原則」と「例外」がしっかりと根付いていたのだと思います。
残念ながら1年目の論文は失敗しましたが、2年目の論文対策は、書き方の習得と、趣旨判例のインプットを中心に行いました。
答案構成にあまり時間はかけず、頭の中で組み立てるタイプです。時系列はしっかり書いて検討しましたが、解答する項目をメモする程度に抑えつつ、特実は1問13分程度、意匠商標は20分程度で答案を書き始めていました。
短答と違って、論文は全く手応えがなかったです。論文は相対評価のため、「どうなるか分からないな」というのが正直なところでした。
8月から練習を始めましたが、この時は論文の合格発表前だったので、口述試験に進めるかどうかは分かりませんでした。そこで論文が不合格だった時のことも考え、翌年の論文式試験でも使える分野を中心に口述対策をやっていました。
口述模試は資格スクエアや会派、諸々で5回受けました。趣旨が得意ではなかったので、青本講座のテキストを使い、論文対策時以上に趣旨のインプットに力を注ぎました。
時間内に進めることができました。口述試験はシステム上、最後までいけば結果が大体分かります。「恐らく大丈夫だろう」と思いましたが、合格が分かった時はやはりホッとしましたね。
論文対策ですが、頻出論点に対して「こう書こう」というリストを作りました。このリスト作成ですが、実は論文書き方講座の当てはめがヒントになっています。
具体的に言うと「特許の39条だったら、こういった文体で2行で書く」という形式でリストアップしました。資格スクエアの論文テキストと他社の答練の模範解答を見ながら、自分なりに研究してExcelで作っていった形です。ちなみに論点によっては、長文用のフルバージョンと短文用の圧縮バージョンの2パターンを作りました。
S.S様作「これを聞かれたら、こう答える」問答一覧(Excel)の一部
論文では、これを作成して「なにも見なくても書ける」レベルまで仕上げることで、主要条文のあてはめをほぼノータイムで書けるようになったそうです
これを用意しておくと、頭の中で「こう書く」と決まっているので、条文番号さえメモすれば、あとは組み合わせるだけで迷いなく論文を書くことができます。
林先生もおっしゃっていますが、「全論点で自分ノートを作り、当日は解答するだけ」というスタイルは有効だと思います。自分なりのデータベースを作って、それを組み合わせてアウトプットするのが一つのポイントではないでしょうか。
暗記カードを使いました。カード一枚の中に、分からないところやポイントになりそうなところを端的にまとめ、それを毎日見るようにしていました。
短答もやはり一人ひとり覚え方に癖があって、苦手なところはなかなか身につかないこともあると思います。ただ、「毎日見る」というオーソドックスな方法は確実に点数を伸ばせると実感しています。
S.S様作:短答暗記カード
短答で出題される細部や、理解できていない・間違いやすい点についてまとめたもの
試験までに200枚程度用意し、毎日見ていたそうです
短答、論文の試験直前期3ヶ月は平日3時間、土日は8~10時間くらいでした。それ以前は平日2時間程度、土日は5時間程度でした。
運動が好きなので、朝ランニングをしたりサイクリングをしたりと、体を動かすことでリフレッシュしました。
また、ずっと家にいるのが苦手なので、勉強する場所に変化をつけていました。カフェや図書館など、お気に入りのスポットをいくつか見つけておいてローテーションしていた形です。移動時間も活用して復習していました。
まず前提として「あまり通学したくないな」という考えがあって、なるべく動画で授業を受けたかったという考えがありました。予備校を検討する際、大手は全て比較対象でしたが、資格スクエアなら通信型に特化していて、通信内で全てが完結するというところがポイントでした。
それから資格スクエアのYouTubeに「独学ができる人は受かる」というくだりがあって、そこに共感しました。自分は授業や先生のペースではなく、動画を参考にしながらも、情報を取捨選択して自分主体で学習を進めていきたいと思っていたので、その点でも資格スクエアはぴったりでした。
学習を進めるほどに、教材の質が高いという点がよく分かりました。
具体的には短答の過去問集ですが、解説が大変丁寧です。短答対策は過去問の解説内容にとても助けられました。
また、青本講座のテキストもかなり重宝しました。テキストの「重要度★3まで、キーワードを再現できるようにする」という形で学習を進めました。
それから論文書き方講座ですが、導入のところが非常に役立ちましたね。最初、何を書いたら良いか分からない時に、求めているタイミングで「当てはめはこうすればいい」「定義はこう書いて、趣旨はこう書けばいい」という例を示してもらえたので、それを使ってスッと答練に進むことができました。
関係者に対して適切な提案ができる弁理士になりたいです。例えば現在、私は企業で特許に携わっていますが、打ち合わせ中に突然意匠商標のことを訊かれることもあります。その時に迷うことなく即答し、意匠商標についても適切なご提案ができればと思います。
自分の担当する分野にとらわれず広く知財についてサポートし、相談されたことに自信をもって対応していきたいです。そして、「この人に任せれば大丈夫だ」と関係者に安心感を与えられる弁理士になりたいという思いがあります。
実務に携わる立場から言うと、知財に関わる仕事は非常にやりがいがあって楽しいです。
実際に弁理士試験の勉強を始めれば、もちろん大変なこともあります。それでもやっていくと徐々に分かるようになってきます。
また、勉強法を自分でアレンジしながら解答できるようになってくると、勉強自体の楽しみも見つけられると思います。なので、諦めずに目の前の単元や課題に向き合うような形で、ぜひチャレンジしてみてください。