E.K 様
30代前半
メーカー開発
2回(数年前に、他校で2回)
基礎・短答・論文パック
修習が始まり忙しくなってきたので、今は合格の喜びより「修習が大変だな」という気持ちの方が大きいです(笑)。
ただ合格したからこそ自分のキャリアを考え、人生を振り返ることができたという意味で、弁理士試験はとても貴重なイベントだったなと感じています。
私は薬学部出身ですが、薬学部の学生なら就職を考える際に「薬剤師になる」「製薬メーカーに入社する」というルートは誰もが思いつくことです。
そこで、学生当時「自分の取り柄は何だろう?」と考え、「プラスアルファの武器がほしい」と思って教授に相談したところ、弁理士試験について教えてもらいました。
その経緯から、学生時代に一度チャレンジしましたが、その時は残念ながらご縁がありませんでした。約10年ほど前です。
弁理士試験の勉強を再開したのは2020年です。 ちょうど新型コロナの流行により、シビアに行動制限されていた頃だったので、気軽に人に会うこともできませんでした。
「今だからこそできること」を探した時に、仕掛かり状態でそのままになっていた弁理士試験のことが浮かんできたんです。そこで、「せっかくの機会だから、もう一回やってみよう」という気持ちになりました。
薬学部卒で、薬剤師の資格を持っているので選択論文は免除となりました。
コロナ禍ということで、「オンライン型にしたい」という前提がまずありました。そこでネットで検索したところ、最初にヒットしたのが資格スクエアだったんです。
個人的な物差しですが、あまりにも小規模な予備校は避けていました。また、大手の予備校の場合は全講座を取ると、60万、100万と費用が膨れ上がりそうだったので選択肢から外しました。
そうして複数の予備校を比較した中で、資格スクエアはちょうど良い価格感だったというのがあります。
通学型となると、身支度や電車に乗っての移動だけでもかなりの時間がかかってきてしまいます。
社会人になると、限られた時間の中で効率よく結果を出さなければなりません。そういう意味では、やはりオンラインが合っているかなと思っています。
オンライン型のメリットは、「昼休みに聴きたい」「朝や夜にちょっとだけ、ながら勉強をしたい」ということを可能にする点だと思います。聴きなれてきたら倍速機能を使えるので、時間を有効に使えました。
また講義面でいうと、菊池先生の講義は始め難しく感じますが、ベースがしっかりしているので理解しやすいです。歴史や改正の経緯もきっちり教えてくれるので、よくある語呂合わせとは一線を画す分かりやすさがあります。
講義を聴けば聴くほど、知れば知るほど「菊池先生ってすごいな」と、内心感動していました。合格後にお会いできて、ちょっと嬉しかったです(笑)。
↑学習が進めば進むほど、その良さが分かる菊池講師の講義
2020年の12月に、数年ぶりに学習をスタートしました。
最初は基礎講座に専念しました。その後、短答対策講座を受け、分からないところが出てきたらもう一度基礎講座に戻るような形で進めていきました。21年の春頃から過去問に取り掛かりましたが、正直全く解けませんでした。
この年の短答式試験は準備期間が短かったこともあって、35点と残念な結果でした。
「最終的には条文が鍵になる」ということです。
四法対照は初学の時に、四法を並行して「どこに何が書いてあるか」を理解するのにぴったりだと思います。余白もあるので書き込みもしやすいです。
ただ私の場合、二年目は条文に忠実な学習をするため、法文集を読み込む形に切り替えました。青本も熟読しました。
平易な文章ほどざっくりと覚えてしまい、試験では間違えてしまいます。「日」「時」、「みなす」「推定する」、そうした細かな部分をニュアンスで覚えずにしっかりと読み込むことが大事だと感じます。
最初はまた基礎講座に取り組みました。そして冬頃には論文講座をさらっと全部1周し、翌2022年の4〜5月は短答対策講座に集中しました。
この年の目標は「短答に受かる」ということでした。ただいざ受かった時に焦らないように論文講座も聴いておいた形です。
過去問はもちろん回しましたが、様々な問題を解きました。知り合いの弁理士の方から「問題数をこなすことが大事」とアドバイスを受け、模試を始め、新しい問題に触れる機会を増やしました。
模試で間違えたところは全部付箋を貼って解き直し、分かるまでは剥がさないルールを作り、自分の苦手なところはすべて潰していきました。そうして復習し、どうしてもできないところはワードに全部書いたり、ノートにまとめたりしていました。
不安はありましたが、「1年前よりできているから大丈夫かな?」と思っていました。解答速報で答え合わせをすると、予想以上にできていました。結果的に48点だったので、8割ほど取れました。
論文は過去問をメインに学習しました。約10年分の過去問を周回しました。
最初はもうちんぷんかんぷんで、かなり苦戦しながらの学習でした。答案構成を書いたけれど、実際に全文書き終わってみると「答案構成に則っていない」と気づくということもありました。
ただあまり答案構成に力を入れ過ぎて、最終的に綺麗に落とし込めないのは困ります。そこで、問題の意図に沿って解答できているかを確認するためにも、時系列・登場人物・題意把握の3点は最初に書くようにしました。
あとは論文解き方講座で林先生がおっしゃっていたように、まず全て書き出して、いらないものを削除していくスタンスでやっていました。難しいことですが、その方が漏れがないと分かったため努めて意識しました。
土日は答案構成と全文書きに力を入れ、実際の所要時間はどれくらいかを知るために時間を計って取り組みました。
特許の問題数がかなり多くて、時間も足りないし、正直「問題の意図が分からない」と思う部分もありました。
なので、「落ちていてもおかしくないな」「でも、あわよくば受かっててほしい」という交錯した気持ちでした。
合格発表の日は特許庁まで見に行きました。他の方に比べると勉強時間も短い方ですし、合格率が25%ほどと考えると不安でしたが、その分合格した時の驚きと喜びはひとしおでした。
論文式試験が終わってから情報収集を始めました。この時点ではほぼ何も手を付けていませんでした。
「過去問はそんなに難しくなかった」と思って会場に行ったら、本番の試験はすごく難しかったです。合格率90%ということで油断していました。
実際に受けると特許が難しくて「これは落ちたんじゃないか?」と思いました。そして意匠は時間いっぱいで終わり、商標は終わったのか終わってないのか分からないままに終了してしまいました。
最初の特許でつまづくとメンタルリカバリーはなかなか難しいですが、「もう、やるしかない!」という気持ちで乗り切りました。
晴れやかに試験を終えたというにはほど遠く、合格発表までもやもやした気分を抱えたままでした。
勉強を再開した初年度は、平日3時間、時期によって異なりますが土日は5~7時間くらいです。追い込みの時期はさらに学習しました。
一番最初の基礎講座はじっくり取り組むより、まずは速めに1周した方がいいと思います。
当初私は「真面目に聴こう」という気持ちで、かなり時間を要しました。そうするとなかなかゴールが見えないため厳しい学習になります。「基礎講座はまずざっと聴いて概要を掴むというやり方が効率的かな」と途中で気づきました。
↑基礎講座は、完璧にしてから先に進むのではなくまずは早めに1周するのがポイント
基礎講座のテキストは、短答の過去問に取り掛かってからも使い込みました。分厚いテキストを特許、意匠、商標と切り離して持ち運びやすくし、「今日は特許に集中する」と決めて進めました。
また私の法文集や問題集はかなり汚いです。自分がどんなところを間違えて、何に困っているかとかを、ひたすら全てのものに書き込んでいたからです。
「ここはもう覚えた」という部分は後から斜線を引いて消すといった作業もしました。
これらは「この時こういう風に思っていた」という振り返りになるので役立ちました。自分だけが分かれば良いものなら、あまり書き込みの綺麗さにこだわらなくても良いのではないかと思います。
家でははかどらないタイプなので、基本的には夜23時くらいまで外で学習するスタイルでした。例えば土日のオフィス街は空いているので、カフェで勉強することが多かったです。
そうすると、「もうやりたくない」と思う時にはいったんやめて、すぐに買い物やウインドウショッピングを楽しめます。それが息抜きになっていたと思います。
私は負けず嫌いなところがあります。それに、「もう一年この苦しみを繰り返すのは無理だな」という気持ちがありました。
「また来年でいいや」という考えが浮かばないように、「今年で受かる!」という強い気持ちで学習に臨みました。
今回のチャレンジは、合格を掴むだけでなく、自分の中の時間の使い方や日常の過ごし方、考え方までを変えたように思います。
「知識は誰にも盗まれないからね」と、母は以前から言っていました。その話が今とても響いています。
また共同作業で取り組む場合、自分の努力だけではうまくいかないこともありますが、勉強はやればやるだけ成果が出ます。それは「すごいことだな」と思います。
弁理士試験を受けたことによって、「次はどういう知識を得ようかな」と前向きに考えるようになりました。
合格率を考えると「弁理士試験は難しい」と思いがちです。でも実は、「基本的なところを押さえていけば誰でも受かることができる試験なのではないか」と、私は思います。
また知的財産は、どの業界にとっても切っても切れないものです。弁理士資格を取ることによって、グッとキャリアの幅が広がります。
「自分には無理かな」「挑戦してみようかな」と迷っている人は、ぜひ頑張っていただきたいです。チャレンジすることで世界が変わりますよ。