弁理士の仕事は年収が高いとも言われていますが、実際には、年収としては700万円くらいから1000万円を軽くオーバーするような人までいろいろです。弁理士の年収は、勤務スタイルや勤務先、経験によって違っています。弁理士が特許事務所で仕事をする場合は、給料が毎月それぞれの事務所から支払われます。
しかし、特許事務所の地域や規模、取り扱っている仕事の内容によって給料に大きな違いがあるようです。一般的に、給料は受注した金額の3分の1くらいであると言われており、実力があるほど給料を多く期待することができます。
弁理士が会社の知財部で仕事をする場合は、年収としてはそれぞれの会社の給料体系に沿ったものが基本的に支払われます。給料のレベルは、大手の会社の方が中小企業よりも傾向的には高くなっています。
弁理士の資格を取ると、給料が5万円~10万円程度資格手当として上乗せになる場合もあります。また、手当として直接支給されなくても、弁理士の資格を取ることによって昇進に繋がる可能性が大きくなって、年収も結果的にアップしていくでしょう。
弁理士として独立した人の中には、2000万円、3000万円以上の年収を稼ぐような成功した人もいます。給料は、弁理士の働きに全てかかっています。弁理士として独立すると、雇用されていた場合とは違って、経営力や営業力も弁理士の知識にプラスして要求されます。
いずれにしても、学習を継続して自分自身を常にスキルアップすれば、高い年収をどんどん稼ぐことも現実のものとなるでしょう。
弁理士は知的財産を扱う法の専門家として、企業や個人の発明家に代わり特許や商標など知的財産権の申請を代行する職業です。知的財産権の申請は特許庁に対して行われます。
商品やブランドの新規性・創作性という「無形の価値」を明文化し、かつ、これまでに知的財産として登録を受けたほかの商品、ブランドの権利を侵害することのないように、入念にヒアリング、調査を進めながら この「無形の価値」を新たな権利として特許庁に申請します。弁理士はこの申請業務を通じて、法的に顧客の権利を守る仕事なのです。
膨大なデータとの比較の上で、この価値が認められ、書類が受理されて始めて企業・発明家の努力の結晶に権利が付与されることになります。
弁理士の業務は実は意外と身近に転がっています。GLAYの音楽にも実は…
●GLAYの音楽は”著作隣接権”の範囲においてブライダルで自由に使ってよい!
●ただし、著作権においては料金を払う必要あり!
●著作隣接権無償化では、権利者との交渉の手間を省けるというメリット!
弁理士が扱う、知的財産とは主に、
①さまざまな商品・アイデアの先進性に与えられる特許権
②新規性・創作性に富んだデザインを保護する意匠権
③新ロゴや名称などのブランドを保護する商標権
などから成り立つ、無形財産のことです。
弁理士の仕事はこれら特許や意匠、商標など、努力の末に生み出された知的財産を公的に権利化する仕事であり、それによって日本国内での権利のみならず、日本の企業・発明家の国際的な舞台での権利も守ることが仕事です。
つまり、顧客の努力や苦労があとから横取りされないように、法律による保護を受けられるようする非常にやりがいのある仕事なのです。
文系の色が強い法律系資格の中で、唯一の理系資格と言われる弁理士。それだけに職業専門性は非常に高く、法律の立て付け上は弁理士登録が可能な弁護士ですら、実質的には弁理士と同じ業務を行うことは難しいとされています。
弁理士の魅力の1つがグローバルな活躍! 一蘭の”味集中カウンター”が他国で真似されたら?
●基本的に自国で取得した権利を外国で行使をすることはできない!
●自分の特許を守りたい国で申請する必要あり!
●「侵害されやすい」「主戦場となる」国を選ぶ戦略が大事!
弁護士は実はあらゆる法律資格の独占業務を行う権利を認められており、無試験で弁理士となることが出来ます。また、弁護士の独占業務である「訴訟」の分野では知的財産権が問題となることも非常に多く、司法試験の選択科目の中にも知的財産法という科目があります。そのため、知的財産権についての知識がある弁護士は一定数いるということになります。
しかし、弁理士の業務と照らし合わせると話はまったく異なってきます。権利の申請業務の中でもメインになる「特許」についてはそもそも知的財産の新規性・創作性を判別するために相当の理系知識が必要になることが多く、法学部出身者が大半を占める弁護士では、申請書類を作成するための聞き取りが容易ではありません。
日本の最先端技術について、開発者と見識をともにし、いち早く発明を権利保護下におくために弁理士は必要不可欠な職業なのです。
弁理士の顧客は、企業の知財部や開発者などです。弁護士の「訴訟」、司法書士の「登記」のように専門的な手続業務ではなく、顧客の生み出した「無形の価値」をどのように権利化するかということを、時にはヒアリングをし、時には特許庁の膨大なデータベースの情報を基に適切なアドバイスを送りながら、顧客とともに考えていくところに弁理士の仕事のやりがいがあります。
転職を考える方であれば、社会人経験やコミュニケーションスキルを活かして、顧客に応えていくことが出来るやりがいのある職種ですし、その専門性の高さから弁理士は企業内でのキャリアアップにも最適な資格です。大手メーカーの知財部では、教育の一環として一定期間新入社員を業務から解放し、弁理士資格の勉強をさせることもあるくらいです。
特に理系出身の専門知識のある方、国際的な経験を持ち外国語を操れる方などは、弁理士資格との併用ですぐに大きな顧客をつかむことも夢ではありません。
司法書士の主な仕事は「登記」です。不動産や財産、会社組織の編成などについて法務局に正式に登録をし、権利の所在を明らかにする「登録業務」と言う面では、弁理士の仕事にイメージが近い部分もあるかもしれません。
しかし、実は司法書士の登記業務は登記法という法律に基づいた非常に専門性の高いものであり、無試験で司法書士になることが出来る弁護士でも業務として行うことがほとんどない分野であるため、弁理士と業務領域が重なると言うことはありません。弁理士は「知的財産」、司法書士は「登記」と、専門性が高い事項について国に登録を行う専門家として、別々の職務領域を保障された資格であるといえます。
近年、国家が打ち出している知財立国(知的財産を軸としたビジネス展開をより重要な戦略として位置づける考え方)によってこの専門性はますます高まると言われています。
弁理士の資格は実は結婚や出産を経て、次のキャリアを目指す女性の穴場資格ともいえます。弁理士試験には短答式の免除制度があり、短答式試験に合格した年から2年間、短答式試験が免除になるのです。
何とか短答式試験には合格したものの、論文式試験までは手が回らなくて……という方でも、短答式試験に合格した努力が無駄になることはなく、翌年から2年間は論文式試験に集中して勉強を重ねることが出来るのです。
論文式試験があることから、司法試験とも似ている弁理士試験ですが、司法試験には免除制度はなく、弁理士試験には長期計画を立てやすい、努力が報われやすい、というメリットがあるのです。
また、近年は「リケジョ」などと、理系知識のある女性の社会進出が進んでいます。女性弁理士の増加、活躍は女性の社会進出の一翼を担う、大きな可能性を秘めています。
行政書士は官公庁に提出するあらゆる書類の作成を行う仕事です。その取扱範囲は入国審査基準から車庫証明、定款まで非常に広いです。その一方、行政書士には「行政書士でないと行うことが出来ない独占業務」というものは少なく、広い業務領域の中でいずれかの業務に特化して仕事をするケースが多いのが実情です。
以上のとおり、明確な独占業務を持った弁理士の仕事が、行政書士の仕事とバッティングすることはなく、特許・意匠・商標など、専門性の高い分野で仕事をしていけるので、過度な競争にさらされにくいといえます。
理系唯一の法律資格の名の通り、他の資格では侵すことが難しい領域を、弁理士という資格は持っているのです。
弁理士の専売特許ともいえる「知的財産権」。実は日本国内だけで通用する権利ではありません。
日本政府が「知財戦略」を推し進めていることからも分かるように、知的財産権の保護は、国際競争戦略においても非常に大きなウェイトを占めており、日本が技術大国として自国の競争力を高めていくためには国際法に基づいた知的財産権の保護をしっかりと担保する必要があるのです。
企業の海外進出を促すため、特許庁でも「グローバル知財マネジメント人材育成推進事業」を推進しており、知的財産を経営戦略に活用できる人材の育成を目指しています。国際感覚に飛んだ弁理士の存在は国家戦略としても非常に重要視されているのです。
これからの弁理士の仕事には、語学力や海外の在住経験で得た力を企業の海外進出という大きな舞台で活かせる可能性が広がっているのです。
弁理士試験は年に1回実施され、受験回数に制限はありません。試験の内容としては、短答式試験、論文式試験、口述試験の3つが実施されます。短答式試験は5月中旬、論文式試験は必須科目が7月上旬、選択科目が7月下旬、口述試験は10月下旬に実施されます。
短答式試験の合格者だけが論文式試験を受験することができ、論文式試験の合格者だけが口述試験を受験することができる仕組みで、非常に難易度の高い試験となっています。
特許 / 実用新案 | 20題 |
---|---|
意匠・商標・条約 | 各10題 |
著作/不正競争防止法 | 10題 |
合計 | 60題 |
短答式試験は、マークシート方式(5肢択一式)の試験です。いわゆる「ゼロ解答」(五肢に加えて「いずれも該当しない」という選択肢を設けること)はありません。特許/実用新案法から20題、意匠法・商標法・工業所有権に関する条約、著作権法/不正競争防止法からそれぞれ10題の合計60題が出題されます。相対評価の試験ですが、近年は合格点がほとんど39点となっていることから、実質的に39点の絶対評価の試験と考えることができます。
総合得点の65%程度を取ることが短答式試験の合格水準となります。ただし、科目別の合格基準を下回る科目が1つでもある場合は不合格となります。この科目別の合格基準は、各科目、概ね40%となっております。各科目に偏らない勉強が必要であるといえます。
弁理士試験における短答式試験の合格率は10%台〜20%台前半と、年によって大きく異なることも特徴の一つです。
各講義を聞き終えたら、オンライン上で短答式問題の演習を行って頂きます。人工知能を用いて自分の間違えた問題を優先的に出題してくれるから、効果的に短答式試験の成績を上げることができます。
特許 / 実用新案 | 2 |
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意匠 | 1 |
商標 | 1 |
理Ⅰ〜理科Ⅴまで及び民法の計6種類の中から出願時に1科目を選んで解答する弁理士試験の論文式選択科目。文系出身の方の多くは民法を選択するのに対して、理系出身の方は、ご自身の得意分野の試験を受験して頂くこととなります。
選択式試験は、一度受かってしまうとその後はずっと免除となりますので、早い段階で選択科目の合格を掴んでおいた方がよいでしょう。「『選択科目』に関する研究により、修士、博士又は専門職の学位を有する方」は免除対象となりますが、工業所有権審議会での審査によって免除資格の認定を受ける必要があります。試験前に特定の手続をとることが必須となりますので注意が必要です。
資格スクエアの菊池講師と林講師から指導を受けて2016年に最年少合格を果たした新井先生が合格の秘訣について語ります。実は林講師が論文を教えていたということで、果たしてその教えの効果はいかに?!
特許 / 実用新案 | 10分 |
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意匠 | 10分 |
商標 | 10分 |
口述試験は、試験官3名の前で、口頭で問題を出され、これに答えていく面接方式の試験です。特許・実用新案法、意匠法、商標法の3科目について、各約10分程度の面接が行われます。 試験の際、あらかじめ用意されている弁理士試験用の法文を用いることもできますが、法文に記載されている内容をしっかり押さえておくことは最低限必要といえるでしょう。
合格率は9割を超えることがほとんどですが、安心はできません。特に試験本番でパニックになってしまわないよう、模試などを受験して、本番慣れしておくことが必要です。
弁理士試験は「短答式・論文式・口述試験」と3つの試験があるので、効率的な勉強計画を立てる必要があります。難解な法律を理解して、弁理士試験を最短で攻略するにはどのように勉強を進めていけばいいのでしょうか。
年度 | 論文式合格率 |
---|---|
平成26年度 | 30.5% |
平成27年度 | 24.4% |
平成28年度 | 25.3% |
まずは基礎知識を蓄えましょう。ここで重要なのが論文も同時並行で勉強を進めることです。論文式試験は、短答式試験の後に受けることになるので、後回しにしてしまいがちなのですが、実は短答式試験に合格できるだけの知識量があれば、論文式試験に合格することは可能なのです。
論文式試験は基本的な事項を問われる問題が殆どで、書き方にも「型」があるので、それをキチッと押さえれば合格することが出来ます。しかし、短答式試験が5月にあることや、免除制度の誘惑のせいで、短答式試験のみの合格を目指してしまう受験生が非常に多いのです。
短期で合格するには、基礎固めと同時並行で論文の勉強も始めて、論文式試験の「型」を押さえることが必要です。
2016年度最年少合格者も使用していた100の問診票(直前チェックシート)。12月までにこれを全て答えられるようにすれば十分合格圏内です!
年度 | 短答式合格率 |
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平成26年度 | 11.8% |
平成27年度 | 14.1% |
平成28年度 | 15.5% |
平成29年度 | 8.9% |
弁理士試験の免除制度を最大限に活かすため、短答式試験受験生は、到達点がどのような段階であっても試験を受ける年の、1月からは短答式試験の対策に集中しましょう。それまで論文式試験の対策を十分にできていた方は、培った法的思考力、法律の使い方を短答対策に活かすことができます。
数ある難関資格の中でも弁理士試験の短答式試験の難しさは相当なもの。広い範囲の中でも、精緻な知識をインプットするためには徹底的な反復が必須です。過去問を中心に間違えた問題は何度も解くようにしましょう。
短答合格後に、それまで学んできた知識が詰まった状態で論文対策を始めることで、自然と論文力が向上します。短答式試験を試験対策の中心にすえて勉強を続けていって下さい。
「もちろん○」「たぶん○」「たぶん×」「もちろん×」の四択から解答することにより、その人の理解度をチェック。4択にすることにより、曖昧な理解の問題も復習対象として認識が可能。
2回目からは、「その人の理解度×全体の正解率×前回問題を解いた日時」より復習の優先順位が高い問題より提示。
年度 | 口述合格率 |
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平成26年度 | 74.6% |
平成27年度 | 93.6% |
平成28年度 | 93.9%% |
弁理士の口述対策は論文式試験に全精力を傾けて、試験を受けた後に行うべきです。なぜなら、口述試験の合格率は95%近くであり、よほどのことがない限り落ちない試験だからです。
短答式試験と論文式試験を戦い抜いた方なら知識面にまったく不足はありません。むしろ、緊張しすぎや体調を崩すことに気をつけて試験日までを過ごすようにしてください。
口述対策は論文式試験後でまったく問題はありませんが、時間がないのもまた事実です。最終合格を勝ち取るために、合格者による口述模試は必ず受けて、試験がどういったものなのか、ということには触れておくようにしましょう。