「大学の理系学部出身」と聞くと、大学院まで進学し研究の道を進んでいる人を容易に想像できます。
まさに、“理系=院進”という方程式を頭に浮かべる方が多いことと思います。
しかし、一口に“理系”と言っても様々な学問があります。
そして、何より強調して言いたいのは、“大学院に進んで研究の道をたどる”だけが理系でないということです。
すなわち、理系ならではの資格試験という選択肢があるのです。
上記は理系の学問別でおすすめの資格を表した図となっています。
この図からもわかるように、バックグラウンドや選考に応じて、大きく分けて6つの資格がそれぞれ”理系オススメ資格”として推奨されます。
”知的財産のプロフェッショナル”
弁理士とは、知的財産に関する法律の専門家です。人々・企業のアイディアや創作活動を特許権・意匠権などの権利として保護する重要な役割を果たすのです。
具体的な業務としては、知的財産の権利を申請を企業に代わって行います。知的財産権の申請は特許庁に対して行われます。
弁理士資格取得後のキャリアとしては、特許事務所で働くことが多いです。ただ、他にも企業の知財部で働いたり独立して個人事務所を経営したりするキャリアもあります。
”数理のプロフェッショナル”
アクチュアリーとは、確率・統計などの手法を用いて不確定な事象を扱う数理の専門家です。不確実な要素で満たされている“将来の出来事”の発生確率を評価するのです。
具体的な業務は、将来起こり得る出来事を確率論・統計学手法を用いて予測・評価します。これによって、保険商品のプライシングや年金の支払い率が決定されるのです。
弁理士資格取得後のキャリアとしては、保険会社や信託銀行といった保険・年金に関連する金融のフィールドが一般的です。一般的な社員とは異なり、専門職=プロフェッショナルとしての働きが求められます。
ITパスポートや情報セキュリティマネジメントを取得すると、IT/情報セキュリティに関する幅広い知識を得られる上に、国のお墨付きで”自分にはITの知識が十分に備わっている”と言え、就職活動や転職活動でも大きなアピールとなります。
ITパスポート
ITパスポート(通称:iパス)は、ITに関連する総合的な知識を有していることを証明できる国家資格です。今や、”IT×〇〇”の空欄にはいかなる業界・分野が入るほど、ビジネス領域においてITは不可欠な存在となっています。ITパスポートは、ITという観点のもと、経営・マーケティング・財務・法務といったビジネスの基礎的な知識やセキュリティ・ネットワークなどの知識など幅広い知識を問う”ITジェネラリスト”としての素養を問う試験なのです。
情報セキュリティマネジメント
情報セキュリティマネジメントは、情報セキュリティに関連する知識と実践を試す国家資格です。総務省の定義によれば、情報セキュリティとは「情報の機密性、完全性、可用性を確保すること」です。すなわち、正しい情報が正しい形で正しい人に伝わる状態を守ることです。そして、それを遂行できる/遂行するに十分な知識があるかを試す試験が情報セキュリティマネジメントなのです。
建築士とは、建築物の設計および工事の監理を行うことが認められる資格です。建築士には、1級建築士・2級建築士・木造建築士の3種類がありますが、1級建築士資格を取得すれば、高層ビルだろうが住宅だろうがほぼ全ての建築物を設計・工事できます。
建築士資格を取得後は、ほとんどの方が独立し自分の建築事務所を開きます。独立後は自らの力量で好きな働き方・年収を獲得できます。
専攻に限らず、全ての人にマストな資格!?
G検定とは、AI(人工知能)に関する総合的な知識を問う検定試験です。”AI”と聞くと「エンジニアのみ」と思いがちですが、G検定は非エンジニアである人も含むすべての人に”AIジェネラリスト”としての資質を求める試験であり、その門戸は万人に開かれています。
G検定資格を取得したものの市場価値は今後大きく伸びると考えられます。それは、”第4次産業革命”の時代を迎える中でAIはビジネスに大きな影響を及ぼし得る存在であり、各企業がAIの知識を持つ人材を喉から手が出るほど欲しているからです。
理系に限らず、各種国家資格の難易度をカテゴリ別に紹介しています。国家資格について包括的に知りたい方はご参照ください。
これらはあくまで、各々が学んできた分野とのシナジーという観点から“理系おすすめ資格”として挙げているにすぎず、実際には理系の方でも資格に関して無限のチャレンジ可能性があります。
自分の将来や希望について深く考えつつ、ぜひ“理系でありながら資格試験を目指す”という選択肢を持ってみるとまた違った視点で物事を見られるかもしれません。