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- 予備試験 令和5年度試験 合格体験記(3)
令和5年度
予備試験
合格
社会人小原 淳宏 様
IT企業勤務・経済学部出身
独学プラン 6期(現在の『合格フルパッケージ』)
約3年(資格スクエア受講後)
4回。(資格スクエア受講後は3回)
専門性の高い資格をとりたいと考えた
短答63位 論文389位
「やっと一歩進んだな」というのが正直なところで、ホッとした気持ちです。一方で司法試験が控えていますので、そこまでギアを緩めることはできませんね。
さらに今後は就職活動もあるので、そのままのエネルギーで進んでいければと思います。
まずは「強い資格が欲しいな」というところからスタートしました。
現在ITの会社に勤めていますが、法曹を目指し始めた当時はコンサルティング会社に所属していました。
コンサルは様々な仕事を評価しますが、いかに相手を説得するか、そのためにどれだけ有効な資料を作るかという点が重要になる世界です。基礎的な力や深掘りする力も当然大切ですが、加えて説得力がものを言い、弁が立つ人が活躍できる舞台とも言えます。
私は能弁な方ではありませんので、仕事をする中で自分の適職は何なのかと考えるようになりました。
他方、この世界を見回した時に、エンジニアリングあるいは統計といった専門的な知識を持った人も少なからずいらっしゃいます。専門性という武器を持つ人はやはり周囲の理解を得るスピード感に勝り、結果的に仕事の推進力が強いです。
それを目の当たりにして、自分もエキスパートとして仕事をしたいと思うようになりました。
それでは何を掘り下げようかと考えた時、自分自身のファーストキャリアが国家公務員だったこともあり、元々馴染みのあった法律の分野でレベルアップしていきたいと考えたんです。
大学の同期で既に法曹となっている友人はいましたが、自分が受験しようと思った時期に予備試験を目指す知り合いはいませんでした。
迷いました。2019年頃にはもう法曹への道を考えていましたが、予備試験を受けることは、いわばパンドラの箱を開けるような未知の重大事で、非常に躊躇しました。
実は大学受験の時に2年浪人しています。当時の実力からは遠い目標を目指し学習した結果合格したという「為せば成る」の経験があるんですね。
それと同様、予備試験も合格までの道は果てしなく見えますが、、、とはいえ人間が作った試験です。試験の難易度云々ではなく、「要は自分が努力するかしないかだな」と腹をくくりました。
そんなことは全くないと思っています。 私は大学付属校の出身で、小学校から高校までエスカレーターで内部進学しました。高校の時分は学年でベスト3に入っていたので、そういう意味では成績は良かったと言えます。
そこで「外部受験をしようかな」と考え、初めて大学受験予備校の全国模試を受けてみたんです。その結果、偏差値38だったんですよ。
良い見方をすれば、勉強以外の部分を育てるカリキュラムだったのかもしれません。しかし外部受験を考えた時、一からの出発というよりはマイナス100から出直すような具合でしたから、正直なところ苦労しました。
ただ、私は高3から2浪して辿り着きましたが、皆さんは中学時代から学校や塾で勉強して達成しているわけです。それを考えると差し引きゼロかもしれませんね。
ともあれ、そうした経験が「ちょっとやそっとのことで諦めない」今の自分を作っていると思います。
2020年の短答式試験の3ヶ月ほど前から学習を始めました。この年は腕試しくらいの気持ちで受け、その後資格スクエアに申し込んで本格的に勉強を開始しました。
そして、21年22年の短答合格・論文不合格を経て、23年に短答・論文・口述を突破し最終合格しました。
とりあえず短答の過去問をひたすら解きました。
振り返ってみると間違った勉強方法だったとは思いますが、まず物理的に時間がありませんでした。試験まで3ヶ月というところ、そして仕事をしながらの学習ということで時間を取りづらい面もありました。
はい。過去に国家公務員試験を受けた際にも、インプットより過去問を回す形で対策しました。
結局のところ短答には落ちてしまいましたが、「過去問だけでどこまで行けるか一度やってみたい」という気持ちがあったんですね。
一年の猶予ができたところで、セオリー通り基礎のインプットから行こうと思いました。本腰を入れて土台づくりから取り組むつもりで、4~5ヶ月かけて基礎講義を1周しました。
この時は最初から倍速で聴いていましたが、それでも時間的な制約を考えると2周目に取り掛かれるかどうかは怪しいなと感じていました。
そこで1周目の時点で、テキストに載っておらず先生方が口頭のみでおっしゃっている部分を逐一テキストに書き込んでいったんです。
要するに以降は動画を観なくても、「テキストだけ回せば講義を視聴しているのと同じ」という状況を作りました。
一刻も早く論文を書く練習に移りたいと考えていたので急いで回し、基礎講義の中で分からない部分が出てきた時も動画を視聴するのではなく、テキストを見返すようにしていました。
↑復習もしやすいカラーテキスト
(画像は、10期講座テキストからの抜粋)
やはりアウトプットが大事だと思いました。本番の試験から逆算し、限られた時間の中でいかにアウトプットできるかが決め手ですね。
並行してインプットに取り組む期間があったとしても、基本はアウトプットに軸を置いていました。
4年間を振り返ると、基礎講義を集中して観た4~5ヶ月以外のほとんどをアウトプットに充てたと言っても過言ではありません。 特に3回目、4回目に向けた学習期間はアウトプットに全振りしました。
この頃は正直なところ、講義を観る時間がなくなっていました。
最初は講義を観つつ進めようと思いましたが、「文章自体を理解した上で覚える」という形でテキストを中心に学習するようになっていきました。
基礎問で重要になるのは規範を覚えていく部分かと思います。とはいえ、いきなり全てを暗記するのは難しいので、理解に基づいて可能な限り記憶に定着させたいと考えました。
1周目の時は全部を暗記しようとはせず、2周目3周目で補完していくつもりでひたすら回しました。
はい。10個覚えることがあるとしたら、1個目を完璧にしてから2個目に行くよりも、各個60%の状態でいいから取り合えず10個目まで回す。それから2周目に取り組んだ方が、効率よく記憶の定着ができるように思います。
暗記するつもりで読み、結果的には短期記憶には入ったものの中長期記憶には結びつかない。それでも仕方ないから次に行こう、という意識でどんどん回しました。
論文は「答案構成をする」、それから「規範を覚える」という流れを繰り返しました。
短答が近づいてくるにつれて短答過去問の比重が大きくなっていき、直前期には短答対策に専念しました。
いくつかの論証集を見比べて、「ここは覚えておいた方がいい」という部分を網羅的にまとめたものを科目ごとに作りました。そして、それを何べんも回して覚えていきました。
答案構成ですね。最初はもちろんフル起案もやっていましたが、時間的に難しかったです。
そこで、論文を書くという作業、つまり「問題から抽出して、答案構成をして、答案を書く」ことをブレイクダウンしてみました。そして「規範を吐き出す」「具体的事実を摘示する」という部分が重要だと判断し、ここに重点を置く勉強にシフトしました。具体的には「答案構成だけをやってとりあえず解説を見る」という形です。
フル起案した方がいいのは分かっていますが、時間短縮の観点から導き出した苦肉の策ですね。
予備試験二回目と三回目はどちらも短答は合格、論文は不合格でした。
一回目で短答不合格だった時との差は、基礎知識を吸収した点です。
そしてもう一つ、より丁寧に過去問を回したところだと思います。
一年目は重要な問題に絞りましたが、二年目は過去に予備試験や司法試験に出た問題を徹底的にさらいました。
いいえ。二回目、三回目と順位は徐々に伸びてきていますが、得意だというイメージは全くありませんでした。試験の度に毎回怖かったですよ。
短答対策はスキマ時間を使うわけではなく、まとまった時間を取って腰を据えて取り組みました。
これまでと同じ方法で、答案構成と規範の暗記をしました。
過去問を使って答案構成をして、規範の方は自分でまとめたノートや論証集を声に出して読む。その繰り返しです。
時には別の参考書に手を出したり、新しい取り組みをしたりということもありました。
でも結局のところ、「規範を吐き出す」「具体的事実を摘示する」という点が大事であることに変わりはありません。最終的に論文合格を果たすまで、基本の勉強方法は変えませんでした。
答案構成をする時も市販のオリジナル問題集などを使うことなく、過去問オンリーで進めました。
「起案をする余裕がない」ところです。
論文対策は何本起案するかが勝負かと思いますが、その時間を捻出するのは大変難しかったです。
起案をするには、少なくとも1個70分はかかります。さらに添削や復習を考えると、たとえ効率良く進めても2~3時間は必要です。
2回目を受けた時のコンサル会社にいた頃は、1個起案するだけでその日勉強に充てられる時間が終わってしまいました。
そんなわけで起案をするよりも、規範の暗記をする方向で学習を進めました。
「起案をやるべきだった」と今でも思っていますが、時間的な制約の中では学習の選択肢を絞らざるを得ないこともあります。そして絞り方次第では間違った勉強法になってしまうことも否めません。個人的にはそこが一番苦労した点ですね。
3時間取れればいい方だったと思います。
残業規制が厳しくなる時代に入っていたので、100時間200時間というような残業はありませんでした。それでもやはり一日2~3時間の残業があるのは致し方ない業界だったんです。
脳のパフォーマンスを考えると適当だったかどうかは分かりませんが、その分休日多めに勉強していました。この頃は8~10時間は取るようにしていたと思います。
このままでは合格は難しいと思って、転職をしました。コンサルの仕事内容がどうこうというよりも、自分の生活の軸を試験に置きたいと考えたんです。
社会人の場合は仕事と家庭が一番で、それ以外は二番以降になりがちです。ただこの時はプライオリティを予備試験に持ってくることを最も意識しました。そのために転職をし、また休職をした期間もあります。
一つ、選択科目を捨ててかかったところはダメでしたね。当然ですがFがつきました。
それから民事訴訟法と行政法もFでした。もしそれがDだったなら多分受かっていたと思います。
民事訴訟法と行政法のFについては、おそらく論点違いの規範を書いてしまったんです。判例を踏まえた規範だったので、規範がずれれば当然事実認定にも点数がついてこなくなります。ここで大きく失点したのではないかと思います。
一方で二回目、三回目ともに憲法や刑事訴訟法はAやBがついており、取れている科目もありました。
ただ、予備試験は各科目まんべんなく点数を取ることが合格のカギかなと思うので、、、3つのFに足を引っ張られましたね。
はい。特に意識や勉強法の変化があったわけではありません。
これまでコツコツやってきたことの積み重ねが、ようやく実を結ぶタイミング。それが四回目の試験だったのだと思います。
合格した後でも、自分が作った再現答案を見ると不満だらけです。なんであの時書けなかったんだろう?と考え、「やはり現場で焦っていたからか」「基礎がもう一つ定着していなかったからか」「単に書き洩らしたか」と、思うことがたくさんあります。
そんなわけで、今もって「書けている」という実感はありません。気づいたら合格ラインを越えていたとしか言いようがないですね。
規範の暗記です。
論点がある程度雑だったとしても、限られた5分ほどの中で一気に抽出して、何とか答案構成は作れます。でも、規範を書き出せないとペンが止まってしまうんです。
事実摘示は問題文の中に書いてあるので、答案構成を丁寧にやれば現場でもどうにかなります。規範の場合は、出てこなければ詰みなんですよ。
限られた論文対策時間を規範に費やしたのは大きかったと思っています。
↑起案(論文の答案をすべて書く)ではなく、
答案構成の練習と、論証を覚えることで限られた時間でも合格を果たす
1回目は記念受験でしたが、2回目の受験時はコンサルティング会社で多忙な生活を送っていました。3回目の時は休職中でした。そして4回目は現在のIT会社に在籍していました。
合格した4回目について申し上げれば、現在の会社は比較的ホワイト企業なのでほぼ定時で上がれます。残業がほとんどなくリモートワークを採用しているため通勤時間もありません。そうすると8時間勤務となります。
そして私は睡眠時間をしっかり取る方なので日々8時間睡眠です。
そうすると24時間のうちの残り8時間が可処分時間になりますが、そこはまず食事や入浴などに費やします。また結婚しているため、妻と過ごす時間も大切です。これらの時間を除くと、4時間半~5時間程度を勉強に充てていた計算になります。最大でも6時間ですね。
ペースを乱したくなかったので、休日も平日とほぼ変わらない勉強時間で進めていきました。やむなく休日に長時間勉強をしていたコンサル時代とは真逆ですね。
そもそも「楽しい」と思ってどんどん勉強するタイプではないので、集中するためには自分を焚きつける必要がありました。
だから図書館で勉強する時はスマホを置いていったり、あるいはスマホアプリを使ってサボれなくする工夫をしていました。
スマホのタイマーアプリで、「スマホを裏返している時にタイマーが進み、手に取ると自動的にカウントがストップする」というものがあります。つまりスマホで気が散っている時はタイマーが進みません。
「今日は7時間やる」と決めてタイマーセットして枷をかける。そんな工夫で学習を積み重ねていきました。
経験則ですが、「可処分時間の確保」と「確保した時間の使い方」の二つが大事だと思います。
「可処分時間の確保」は、仕事や家庭で忙しい中でも何とか勉強のための時間を作る、というところですね。社会人にとっては難しいですが、ここが第一ステップになります。
そして、第二ステップは「確保した時間の使い方」で、捻出した貴重な時間をどのように使えば効率が上がるか、というところです。
ここは、やはりコンスタントに勉強することが重要ですね。
「月・火・水は10時間、木・金・土・日は0時間」よりも「月・火・水・木・金・土・日のそれぞれ3時間」やった方が成績が伸びると感じます。
トータルだと30時間と21時間なので、一見前者の方が上回っているように見えますが、後者のやり方の方が学習内容が定着すると思います。
結婚したのは2022年、3回目の予備試験の前のことです。それまでも、それからも、妻は最高のアシストをしてくれました。
勉強はもちろん自分でやるほかありません。資格スクエアの講座に則り、自力で対策していくことになります。 けれど、「仕事以外の時間をどのように使うか」というところは、やはり周囲の人々にかかっています。可処分時間をどれだけ確保できるかが勝負なので、妻の協力なくしては成立しなかったと思っています。
精神的な支えになってくれたのはもちろん、家事面でも普通では考えられないほど支えてくれました。妻も仕事をしており、むしろリモート勤務ではない分通勤時間があります。そんな中、食事づくりや掃除洗濯を率先してやってくれました。
分担していてもやはりしわ寄せは妻の方に行きがちですが、結婚前の数年も含め一回も不平不満を言わないでいてくれたんです。一般的に考えたら絶対何か言うだろうなというところを、本当に一言も。
多分一回でも言葉にされたら、「やはり1時間くらいは家事をやった方がいいな」と気にしてしまいます。そうなると勉強に充てる時間が少なくなり、ストレスが溜まって、、、という悪循環に陥っていたのは間違いありません。
本当に奇跡のような環境で勉強できたと思っており、妻には言葉にならないほど感謝しています。
いくつかの予備校を検討しましたが、「できるだけコスパの良いところにしたい」という気持ちがありました。収入はあっても、いきなり大きな金額を支払うことには躊躇しました。
そんな中、資格スクエアは高過ぎない金額で、しかもコンパクトに基礎固めができる点で優れています。
また、「学習の四分の三はアウトプットである」という先生のお話が非常に頭に残っており、そうした意識づけをしてもらえたのも良かったと思います。
実際、重要箇所を凝縮した基礎講義でインプットが済んだおかげで、アウトプットの時間を最大限捻出できました。
最初から少しでも早く1周したいと考え急ぎ講義を視聴していたので、倍速機能には本当に助けられましたね。
↑1.0~3.0倍速の21段階の倍速機能を搭載
講義の視聴時間の短縮で、さらに効率的な学習が可能
コンサルティング会社に在籍していた頃は対官庁の業務を、また現在所属するIT会社ではBtoBの仕事をしています。
そういった意味で、対個人というよりは、対法人というところでこれまでの経験を活かせるのではないかと考えています。
企業法務に関心があるので、さらに専門性を高めた上で弁護士資格を活かしていけたらと思っています。
人生において迷う時間は決して無駄ではありませんし、その無駄だと思う時間こそがプラスになることもあります。
しかし資格試験となると、悩んでいる期間を勉強に充てていればもっと伸びるのに、、、という現実的な部分がどうしてもありますね。だから、「一日でも早く始めなよ」と、声をかけると思います。
もし予備試験を受けるかどうか悩んでいるのなら、「とりあえず始めてみたらどうかな?」と伝えたいです。
私自身、初めて受けた時は短答3000位台で、箸にも棒にも掛からない状態でした。でも、継続して勉強していれば受かる試験なんです。
予備試験の合格者は少ないけれど、四百数十人は受かります。オリンピックで金メダルを目指すわけではないですし、身構えずにまずはやってみてはどうでしょう。そうすれば、道は開けますよ。
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