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- 予備試験 令和5年度試験 合格体験記(8)
令和5年度
予備試験
合格
社会人山田 様(仮名)
専業受験生・教育学部出身
逆算プラン 5期(現在の『合格フルパッケージ』)
約4年
4回
弁護士への憧れ
短答1600位台 論文300位台
安心しました。論文式試験合格の時も嬉しかったですが、やはり口述を突破して最終合格した時に、ようやく心から一息つけた感じです。
実は大学在学中にいくつか病気をしてしまい、就職活動も進学もうまくいかず八方ふさがりの時期があったんです。「自分はこれからどうなってしまうんだろう」と思うと、不安でいっぱいになりました。
現状を打破したいと思いつつ、前向きになれない毎日が続いたそんなある日のことです。大平光代先生の『だからあなたも生き抜いて』という本の存在を思い出し、もう一度手に取りました。
読んでみて、あらためて凄い方だなと思い……そして「弁護士になるという道がある」「自分も努力すれば可能性があるかもしれない」と、心が動いたんです。
この頃は文芸書から漫画まで様々なものを読み漁りました。「『カイジ』には人生に必要なものが書かれている!」と感銘を受けましたし、本の中の言葉に背中を押してもらうことが多かったです。
ありません。その時の自分はまさに「失うものは何もない」という状況でした。
また社会人の方の場合、現在の仕事とバランスを取っていく必要がありますし、会社での評価を考えるとなかなか勉強に専念しづらいところがあると思います。その点、大学卒業後にアルバイトをしていた自分には時間的余裕もありました。
私の母は非常に教育に情熱を傾けるタイプでした。しかし振り返ってみると、どう考えても「熱心」という範疇をはるかに越えていたと思います。
長じてから家庭内で苦しむ人に心を寄せる弁護士の存在を知った時、自分の幼少の頃の辛さと重ね合わせて、弁護士という仕事に特別な気持ちを抱きました。
教育学部出身です。大学で法学を専門的に学んだことはありませんでした。
当時進路につながるような武器を持っていなかったので、仕事を得るためにはやはり資格を取ることが必要だと強く感じたんです。
正直なところ勉強は嫌でした。ただ法律の勉強は比較的自分に向いていて、だから続けられたように思います。
例えば数学の場合、解法の暗記をしても計算を間違えてしまえばおしまいで、答えに辿り着くことができません。一方法律は、特に短答学習に関して言えば、覚えればそのままそれが試験に活きる面があって勉強のやり甲斐がありました。
元々他の科目に比べて国語がちょっと得意だったから、ということもあるかもしれません。
学習を開始してすぐ軌道に乗ったわけではありませんでした。最初に受けた令和2年の短答式試験など、全然手応えがなく歯が立ちませんでしたし。
それはもう、そもそも法律の知識以前の問題です。始めて1年ほどは勉強をしていても演習をしていても、書いてある内容が理解できなかったんですよ。
そして「これはまずいな」と一念発起して、一切の娯楽を排除して体調を整え、バイトの休み時間に講義を観たり論文の起案をしたりと、予備対策中心の生活へとシフトしました。
「このまま一生分かるようにならなかったらどうしよう」という不安はありましたが、自分なりに工夫しました。主語と述語に丸をつけたり、文章にスラッシュを入れたりして読みやすくするとか。
それから問題文の片隅に自己流の図を書いてましたね。例えば善意の人はスマイル、悪意の時には怒ってるような顔、背信的悪意者には角を生やすという感じです。そういう図を結構書きました。
自分なりのやり方で理解し試験時間内に解き切れるように、過去問や模試で繰り返し練習しました。
↑山田様が使われていた論文問題集の画像
文章を丸で囲む、文言に線を引くなどオリジナルの工夫を施す
論文は最初なかなか書けるようにならなかったので、資格スクエアの解答例を書き写しました。
それから基礎問を含めた論文テキストを自分で音読して録音し、それをひたすら聴きました。論文のリズムや覚えるべき論証を音声として頭に取り込めたのが良かったと思います。
書店で基本書を手に取って見てみたことはあります。ただ、やはり何が書いてあるのか分からないので、それを読んで自分で学習するという道は選択肢にはありませんでした。
結果として、資格スクエアを選び講師の方に解説してもらって理解するやり方で正解でした。プロが適切な例や図を交えて説明してくれるので分かりやすいですし、理解できないところは何度も聴き返せるのは本当に助かりました。
当時YouTubeを開くと資格スクエアの広告が頻繁に出てきたんです。それがきっかけで自分なりに色々調べてみたのですが、他の予備校に比べると費用がお手頃なところがとてもいいなと。
対面型ではなく、ネットだけで全てが完結するところも決め手でした。
カリキュラムで言うと、論文の基礎問講義ですね。最初から論文過去問に取り掛かるのは難しいですが、基礎問は論点ごとに内容が充実した一行問題で、アウトプット初期にはぴったりでした。
また、もしも一年間長い時間をかけてインプットばかりする講座だとしたら、合格までの道のりはもっと長かったと思います。インプットの次に基礎問を挟み、その後過去問で本格的にアウトプットするというカリキュラムが非常に役立ちました。
機能としては音声ダウンロードができるところが良かったです。基礎問を何度も聴きました。基礎問は暗記用例題のポジションで、「問題文と解答例を全て覚えてしまおう」という姿勢で取り組みました。理解しづらい場所は何度も講義の音声を聴き返して暗記に努めました。
このデータのおかげで、受講期限が終わった後も手持ちのテキストと併せて遜色ない学習ができたのも助かりました。
2019年の10月から受講を開始しました。20年の短答は不合格、21年と22年は短答のみ合格、翌23年に短答・論文・口述を突破して、最終合格という流れです。
まずは2019年10月から20年3月まで基礎講義を受け、同時並行で基礎問演習を進めました。
科目別に基礎問を書いて、解答解説を聴いて、できるだけ模範解答に近づけるように答案を直していきました。そして添削も出しました。
ただ、この頃は六法の使い方があまりよく分かっていませんでしたね。
辞書持ち込み可の英語の試験のようなものかと思い込み、「六法を引かない方が時短になる」「暗記していた方がいいのでは」と勘違いして、基礎問を解く時なるべく引かないようにしていたんです。今振り返ると、「いっぱい引いておけば良かった」と思います。
ある程度覚えていないと論文は書けないので、最初は難しかったです。だからといって模範解答を書き写して出しても仕方がないので、自分で考えながら空で書いてみました。
すると「ここは自分の言葉で的確に説明できているのでいいですね」といったフィードバックをいただける。そうして「あぁ、こういう感じでいいんだ」というように、だんだん要領をつかめていきました。
アウトプットを早く始めるのは良いことだと思います。
インプットだけしていても、それをどうやって答案を書く際に使うか、どうやって短答の問題を解く時の知識として使うかというところまでは身につかないんですよね。
しかも先にアウトプットして、それからインプットの教材を見ると「あ、こういうことだったんだ」と腑に落ちる。脳の吸収率が上がるので、早期のアウトプットは大切だと思います。
論文の過去問は単なる組み合わせではなく、複雑な入れ子のようになっているところもありますが、基礎問で論点抽出ができていて基礎問の知識が身についていれば、その論点については書けるんですね。
実際に過去問演習をしてみると、「問題を解く中で基礎問がこうやって活きてくるんだな」と感じました。
基礎問と過去問とでは難易度に差があるので、たとえ基礎問をある程度演習したとしても、すぐに合格できるレベルの答案を書けるようになるわけではありません。
そこで先ほど申し上げた通り、問題文と解答例を音読したり、録音して後で聴いたりして、テキストの内容を暗記しました。
そして、過去問を書く時はなるべく答案構成をするようにしていました。
そうですね。それでも文章で書く方がさらにハードルが高かったので、「答案構成だったらできるかな」ということで、できそうなことから始めました。
一番最初に提出したのは、平成23年の「憲法」でした。
添削結果を見ると、褒めてくださっているところもあって嬉しかったですね。「ちゃんとやれば他の科目もできるようになるのでは」という自信にもつながりました。
最初のうちは答案構成をどこまで丁寧にやるか悩みました。「しっかりやった方がいいのか?」「でも答案構成の部分は採点には関係ないし」と色々考え、自分なりのやり方に落ち着きました。
具体的には答案構成はせずに、問題文の横に図を描いたり重要なところに線を引いたり、問題文の横に論点名を書いて、書き漏らしがないかチェックする形です。
添削の時に「今回は答案構成をしっかりやってみよう」「今回は答案構成せずに出してみよう」と試してみて、最終的にこのやり方に落ち着きました。
それから答案作成時は、70分以内で書けるように時間を計って取り組みました。
↑山田様が使われていた論文問題集の全体画像
そうですね。ただ一度正答を見たことがありますし、講座で解説を受けてもいましたから。それでも完全に覚えているわけではありませんが、初見の問題を最初から時間内で解くことと比べたら、少し楽ではありますね。
学習を開始したのが2019年の10月で、翌年の短答に受かるかどうかは別として、それまでに一通りの学習を仕上げたいと思っていました。その目標に向けて着実に力をつけたいと思い頑張りました。
はい。基礎講座Ⅰの時は学校で授業を受ける時のようにメモを取りながら進めましたが、基礎講座Ⅱは時間を有効活用するため「ながら勉強」でした。
一度で覚えられなかったとしても、「音声データもあるし何回も聴けば暗記できるだろう」という気持ちで、まずは全体把握に努めました。
はい。2020年(令和2年)はコロナ禍の影響で短答式試験が8月に延期となりました。直前期のこの頃は短答対策講座を一気に受けました。
最初に申し上げた通り、自分の読解力に問題があって1回目の短答式試験に向けた学習は厳しいものになりました。それでも総復習の意味で一気に詰め込みました。
本番では分かりそうなところや選択肢が短いところから何とか解きましたが、難しかったですね。
とはいえ一般教養で30点ほど取れたこともあり、合計得点は135点だったんです。全然分からない中でもがきながら勉強した割には、箸にも棒にも掛からないわけではなかった。「あと各科目3点ずつぐらい増やせば合格ラインには乗るんじゃないか」とも思いました。
この年の短答では、粉砕されたのと同時にある種の自信もつきました。
それと短答式試験が終わって翌年に向けた勉強をスタートしてみると、これまで分からなかった選択肢の意味が理解できるようになっていたんです。試験のため、直前期にがむしゃらに勉強した成果が表れてきたのだと思います。
短答の演習について、肢別はある程度学習が進んでいる時に使うと効果的だと思いますが、解説が短めで初学者向けではないように感じました。そこで年度別形式でまとめられている問題集を主に進めるようにしました。そして十分に力がついてきた頃に肢別に移りました。
最近の予備試験は、過去問に出ていないような問題も出題されることが増えてきています。その場合、肢別が活きてくるので、年度別と肢別の両方をやって良かったと思います。
短答対策は主に直前期、試験2ヶ月前から本格的に取り組みましたが、この頃は旧短答アプリもかなり活用しました。
問題を解く際、時間配分に気をつけました。
刑事系はなかなか時間が足りないなという印象です。
民事系の方は、民法は図を書かなければいけないところもあってやや時間がかかります。そして民事訴訟法、商法は知っているか知らないかだけで仕分けられる部分があります。そこで実際に解く時は時間の読める民事訴訟法、商法から取り掛かり、手間がかかる民法を後に回しました。
過去問を直近から解いていくと、平成23年くらいまで遡っても分かるようになってきていたので、「もしかして今年はいけるのでは?」という手応えは感じていました。
はい。主に資格スクエアの論文テキストを使いました。あとは他社の演習本や、旧司法試験時代の良問を抜粋した問題集なども使いました。
旧司法試験の問題は論点の学習になるかなと考えました。それから予備試験の問題をよく見ると、旧司時代の問題に事案で肉付けした形のアレンジ問題もあるんですね。そういった点で役立ちました。
受かってはいないだろうけれど、途中答案もなかったので、そこそこかなと。
採点結果を見た後の感想としては、「論文も各科目3点ずつぐらい上を目指せばいける」と思いました。
試験の手応えから、方向性に大きな問題はないと考え、基本的にこれまでやってきたことを繰り返しました。
2回目の予備試験で初めて受けた論文式試験の点数は900番台でした。それが3回目では1200番台に落ちてしまいました。この時はかなり辛かったですね。
受験の最中から既に「去年より悪いんじゃないか」という感覚はありました。勘違いやキーワードの見落としのせいで、簡単に解ける問題に時間をかけてしまった記憶があります。
何でこんなにやらかしてしまったのか?今振り返ると、「あれが原因かな」と思うことがありまして……これまで親しんだ教材を繰り返し学習してきたにも関わらず、試験1ヶ月前というまさに直前期になって新しい教材に手をつけたんです。
網羅性のある問題集で知らない論点をつぶしていく作戦でしたが、枝葉末節にこだわり過ぎて、本来やるべきだった重要論点の復習や起案が疎かになってしまいました。
やったことは翌年の論文学習のプラスにはなりましたが、「このタイミングでやるべきではなかった」と思います。
ご縁があって知り合った弁護士の先生に勉強のやり方を相談することができました。現状を伝えると「短答は肢別をやるといいですよ」というアドバイスをもらいました。「最近の予備試験は過去問には見られない細かい部分の出題が増えているけれど、肢別には載っているから」と。
それで肢別にしっかり取り組みましたが、やはり23年の短答も同様の出題傾向で「やっておいて良かった!」と思いました。
論文については、これまでつみ重ねた学習を忘れない程度に繰り返し、先ほどお話した網羅性のある問題集を進めていきました。
先ほどお話した知り合いの弁護士さんに口述の練習をお願いしました。オンラインで、過去問をアレンジして出題していただいたんですが、その結果が芳しくなく……「このままだとちょっと危ないですね」「最近あまり勉強してなかったのでは?」と言われて焦りました。
実はこの年の予備試験がダメだった時のことを考えて、法科大学院ルートも考えたんです。それで予備の論文が終わってから法科大学院の対策をしました。でもロー入試が終わってからは確かにあまり勉強していなかったんですね。
もうそこからの1ヶ月間は必死です。起きている時間は全て勉強に充てました。食事も片手で食べられるものにして、本当にひたすら口述対策をしました。その甲斐あって口述も無事突破して、最終合格することができました。
一般民事を手広く扱うような、いわゆる町弁で仕事をしたいと思っています。
家庭内不和によって心身に痛手を負い、犯罪に手を染めなければならなかった。そういう人の弁護をしていきたいです。
「どうしてそんな人を弁護するんだ」と世間一般では厳しい目を向けられることもあるかもしれません。それでも私はそういう人に寄り添って、人権保障のために力を尽くしたい。
家事事件を通して、家庭内で弱い立場に置かれている人を手助けできる弁護士になりたいです。
予備試験のための学習は長期間にわたります。
何年間もずっとどこにも遊びに行かず、友達にも会わず、娯楽もしないというのは、やはり大変なことです。しかも、そこまで頑張ったとしても受かる保証はありません。
では、自分はどうして踏ん張ることができたのかといえば「現状を打破したい」「ここから抜け出したい」という強い思いが原動力になっていたからです。
予備試験はちょっとした気持ちで踏み込むには高いハードルです。勉強を始めようか悩む人に、「迷ってるならやってみなよ」と軽々に言えるものではありません。
それでももし、今自分が置かれている状態に満足できず、かつ法曹を志す強い強い動機があるとしたら挑戦してはどうでしょうか。
「あの時始めれば良かった」という後悔が残らないように。
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