受講生 合格体験記

令和5年度
予備試験
合格

「要点凝縮のテキストはタイパの味方」
仕事・家族・信念、全てを重視して合格を果たす!

社会人本田 様(仮名)

  • 職歴・学歴

    公務員・法学部出身

  • 受講講座

    独学プラン 5期(現在の『合格フルパッケージ』)

  • 学習期間

    約30年(資格スクエア受講後は約4年)

  • 受験回数

    13回

  • 予備試験を目指したきっかけ

    学生時代からの目標

  • 試験順位:

    短答500位台 論文二桁位台

旧司法試験時代から続く挑戦「自然体で30年」

予備試験の合格、おめでとうございます。今のお気持ちを率直に聞かせてください。

「長かったな」と思います。緩急つけながらの学習ではありましたが、約30年の道のりでした。

法曹を目指した最初のきっかけを教えてください。

法学部の出身なので、学生時代からぼんやりとした法曹への憧れはありました。在学していたのが司法試験合格の実績のある大学だったので、環境的に影響された部分もありますね。

旧司法試験の初受験が1993年(平成5年)。学生時代に実を結ぶことはありませんでしたが、公務員として就職してからも「これまで学んだことを活かせないか」という気持ちは捨てきれませんでした。

就職してからも学習を続けられたのですね。

社会人になってからは当然仕事中心の毎日なので、学生時代のような熱量で勉強に臨んでいたわけではありません。そんな中、「受験だけはする」という期間が10年ほど続きました。

そして2011年に予備試験制度が開始されるのですが、ここで一念発起しましたね。仕事の体制が変わり、少々時間的余裕がある時期だったこともあり、「予備試験のために知識を入れなおそう」と気持ちを新たにしました。

予備試験に本腰を入れることに躊躇はありませんでしたか?

少し勉強時間を取りやすくなったとはいえ、やはり仕事との兼ね合いもあります。また、短期合格を目指す人に比べると、気持ちの熱さも持ち合わせてはいませんでした。

ただセカンドキャリアを考えた時、「予備試験の合格は強力な武器になる」という動機付けもあったんですね。それで、本気の受験を意識しながらゆるゆると勉強を続けていった形です。

少しお話が逸れますが、受講当初はまだ携帯キャリアのデータ容量無制限はなかったので、そこを気にしながらの学習でした。今は無制限プランもあるので、オンライン予備校での学習は格段にやりやすくなりましたよね。

短答対策は「コアになる肢を意識」で得点アップ

予備試験のチャレンジで辿った道筋について、ご教示いただけますでしょうか。

旧司法試験を経て予備試験制度の開始時から受けていますので、予備試験だけで言えば13回受験しています。

資格スクエアの講座は2019年の10月から受講を開始しました。
それから短答はずっと合格し続けていますが論文が及ばず、2023年に短答・論文・口述を突破して、最終合格となりました。

予備試験を受けた時、旧司法試験と比べて「ここが違う」と思った点はありますか?

短答が殊の外、簡単になりましたね。旧司法試験では短答にすら受かりませんでしたが、予備試験は随分違いました。予備試験1年目はどのくらいの勉強量が必要か分からずに手探りで不合格でしたが、2年目には合格できた形です。

論文については自分で考えるところや、構成して作らなければならないところが減りました。
予備試験になって問題文自体は長くなりましたが、その中にヒントが散りばめられているんですね。そのため「どの辺の文言で書けばいいか」というメッセージが読み取りやすくなったように思います。

おかげでトンチンカンなことは書かずに済むようになりました。具体的に言うと、過去7~8回の論文の成績は大体220~230点台です。良い時で500番台、悪い時でも800番台で「あと一歩だな」という結果がずっと続いていました。

長く短答に合格し続けていますが、コツがあれば教えてください。

ずっと肢別中心に勉強をしています。ただ当然ですが、実際の問題は肢別で出てくるわけではないですよね。そこで、文字通り「問題として解く」ということを常に心掛けていました。

問題となると、全ての肢の重みが同じというわけではなく、「この肢分かった」という点で解けることも多々あります。そのコアになる肢を見分ける目を養えるといいですね。

また、肢と答えの間の理由付けというところを意識しながら解くことも大事だと思います。

安定的に短答を突破するという意味では一般教養も大切になってくると思います。どのように対策していましたか?

一般教養は「自分の得意分野は確実に取っていく」という形で進めました。例えば文系の学部を出ていれば古文の知識はあるでしょうし、歴史なら負けないという人もいるでしょう。

私の場合は公務員試験で一般教養を受けた時の経験があります。それはもう何十年も前の話ですが、その時に問題を潰していった記憶が今でも残っています。それもあって、あまり苦手意識もなく取り組めました。

それと「何点取らなくちゃいけないのか」ということを、あまりナーバスに考え過ぎないようにしました。「20点も取れば、何とかなるでしょう」くらいの感覚ですね。そうして、大体半分くらいは取っていた感じです。

それから「英語はやめておく」というのもポイントかなと。予備試験の英語問題は普通以上に難しいです。英語が得意な人・日常的に触れている人はいいとは思いますが、それ以外の場合、英語を解くのはあまりおすすめしません。
あと、理系の科目で数式のないものは割と簡単ですね。

資格スクエアで受講を始め、どのように学習を進めていったか教えてください。

基礎講義は講義視聴だけでなく音声ダウンロードも活用し、繰り返し聴きました。そして基礎問、過去問演習と続けていきました。

基礎講座を大分視聴していただいていますが、こちらはスキマ時間を活用されているのでしょうか。

基本的に私は講座を「座って観る」ということはしないんです。歩いている時間や運動している時間にかけっぱなしにして「耳で聴く」スタイルです。

机に向かって学習するのは書きものの時くらいで、読んだり聴いたりは細切れの空き時間を使っていた感じですね。

耳から学習する際はどのような意識で聴いているのでしょう。

繰り返し聴くことで講義の流れは分かってきます。そこで「この話の後にはあの話が来るな」と内容を先取りして思い出し、音声が流れた段階で答え合わせをするイメージです。
倍速で聴くと集中力も上がるので、倍速機能は良く使いました。

それから、ながら聴きのメリットはもう一つあって、歩いている時に見える光景と聴いている講義内容がリンクしてインプットされるんですよ。いざ問題で同じくだりが出てきた時に「あの辺を歩いている時に聴いたな」という形で呼び起されるんですね。動きながら聴く学習は、記憶の定着の意味でも自分に合っていました。

マイペースな姿勢で「最後は論文高順位」

資格スクエアで受講を開始して初めての予備試験は2020年かと思いますが、短答はここからずっと受かり続けているということですね?

はい。

合格した2023年に向けた論文対策は、どのように進めましたか?過去問中心でしょうか。

短答式試験以前の時期については、市販の問題集を使うなどして、より多くの問題パターンに触れるよう心がけました。網羅的な問題演習を目指して取り組んだ格好です。
短答式試験が終わってから論文式試験前までは過去問を演習しました。

他にも「論文合格にこれが効いた」というポイントがあれば教えてください。

実は22年の論文は4点足りずに落ちたんです。選択科目がFだったんですよ。

「国際私法との相性があまりよくないな」と感じました。それで最後の年は自分が現在携わっている仕事に関係する科目に変更したんです。

もちろん最初からその選択肢はありましたが、「実務で関わっていることが裏目に出ておかしなことを書いてしまうかも」という不安があり、その分野は避けていたんですね。

実際に馴染みある科目に変更してみると、やはり業務上使っている内容なので知識量は圧倒的でした。既に自分のものになっている知識を、論文式試験向けにカスタマイズする形で対応しました。おかげさまで23年の選択科目はAを取れました。

素晴らしいですね!そうして2023年13回目の予備試験では、高順位で論文を突破したのですね。

最後の最後……正直なところ自分でも「何これ怖い」っていうような結果が出ました。
具体的に言うと、憲法B、行政法A、民法A、商法B、民事訴訟法A、刑法A、刑事訴訟法E、労働法A、実務科目Bという形です。

刑事訴訟法は結論においてミスした部分を自覚していたので、多少低く出ても仕方ないと思っていました。そんな中ほぼ全部の科目の結果が跳ね上がっていて驚きましたね。

最終的に二桁位台で合格できてびっくりしました。でも、もうちょっと早く受かりたかったですね。こんなに高順位でなくてもいいから……(笑)。

毎年論文式試験を受ける中で「この科目は点数が安定しないな」という分野はあったのでしょうか。

民法です。今思い返すと安定しない時期はやり方が雑だったのかなと思います。
論点的なところはちゃんと書いているのですが、要件の書き出しや当てはめの部分を疎かにしていました。

23年に関してはそこをしっかり意識して丁寧に書いた結果、Aを取ることができました。

民法は大改正もありましたね。改正前後の知識の齟齬でご苦労はありませんでしたか?

どこがどう変わったかを理解せず知識があやふやなままなのは良くないですよね。

有名どころはどこが変わったかすぐに分かるのですが、それ以外の場所を全てチェックするのは大変です。そこを補完したくて資格スクエアを受講した部分が大きいです。

今回の試験を振り返ると、原始的不能の契約の場合、「昔は無効だけれど、今は有効」というものがありましたね。それを示す条文があるわけですが、自分はそこを書けませんでした。
ただ、書けなくても「有効になった趣旨」を、当事者の合理的意思からきちんと書いたおかげで、あまり沈まずに済みました。そうした流れまでしっかり押さえておくのが重要なのかなと思います。

あとはやはり、改正前の民法をいかに忘れるかっていうところですね。

論文合格後は初めての口述試験を迎えます。緊張はしましたか?

これはですね、本当にガチガチでした。
実は民事でちょっと変なことを言ってしまって「やらかしたな」という部分がありました。それで試験官の方に「勉強してくださいね」と3回ほど言われたんです。

「勉強してくださいね」は減点のフラグ、という都市伝説的な噂があるもので……「3回言われたということは、60点、59点、58点、57点…」と、頭の中でカウンターがみるみる落ちていくような気持ちでした。「もう民事で沈んでしまったかなぁ」、と家に帰るのもきついくらいで。

翌日は冷たい雨の日でしたが、気を取り直して臨みました。幸い刑事の方は自分の得意分野だったこともあり、クリティカルヒットを飛ばせたんですよ。「民事で落とした分、この日取り返せて良かった」と一安心でした。

通勤時間を活用「フル起案に固執しない」

既に公務員という確固としたお立場ですし、「もう予備のチャレンジはいいかな」という気分になることはありませんでしたか?

そうですね。そもそも生活のために受けているわけではなかったので。言ってみれば「趣味の司法試験」と言いますか。

「学生時代に始めた勉強が実らないのももったいないかな」という気持ちで今日まできました。予備試験制度が始まって受けてみたところ、箸にも棒にも掛からない点数ではなかったし頑張ってみようと。下手な博打打ちのようにずるずるっと続けてきたイメージです。
だから、悲壮感を漂わせてゴリゴリ勉強していたわけではないんですよ。

学習全体を振り返って、苦労した点、工夫された点があれば教えてください。

仕事との両立の関係で論文を書く時間をなかなか確保できず、そこは苦労しましたね。
そして書けない期間が長くなると、モチベーションが低下してくることもありました。

書き続けている間はルーティンでできるんですけれど、それが途切れてしまうと次第に書くことに対する億劫さが出てくることもあり……再度書き出すために物凄いエネルギーが必要になってくるんですね。

ただ、殊更フル起案に固執しなくても良かったのかなと思います。答案構成やメモ程度のものを反復して書き続け、最終的に突破できたので。

むしろ手を動かすことより、どれだけ問題を繰り返せるか。合格して振り返ってみると、自分にとってはそこがポイントだったように感じます。

時間がない中、どのような形で論文対策をされていたのでしょう。

この2年ほど、片道数時間というかなりの長時間通勤だったんです。それも車ではなく、公共交通機関でした。そこで通勤時間にフル起案まではできないまでも、ある程度の起案、メモ書きをずっと続けてきました。テキストに紙を挟んで、その紙に書いていく感じですね。

先ほど「動きながら聴く学習」について伺いました。他にも自分なりの学習方法があれば教えてください。

「スキマ時間」と「省スペース」をキーワードに工夫しながら勉強しました。資格スクエアの短答アプリもそうですが、持ち歩きが簡単な形だと勉強がはかどりますよね。

私の場合、本を開く場所を取ることができない時のために、テキストを裁断して電子化しました。それをiPadに入れ、ペンシルを使って問題を解く、といった形です。

このやり方だと目に見える教材を持ち歩かなくて済むので、勉強に必死になっている感が出ないのも良かったですね。

iPadを見ながら、メモを取りたいと思った時にはどうしていましたか?

付箋を持ち歩いて、気になることは都度メモしておきました。後からその付箋をノートに貼ります。そうすると簡易的な自分ノートができるんですよ。

資格スクエアを選んだ理由・良かったポイント

講座をお受けいただく中で、良かったと思う点があれば教えてください。

実務基礎の講座が非常に良かったです。
「実務基礎、まずは何から手をつけよう」と考えた時に大変役立ちました。

分厚い本ばかりの中で、あのテキストの薄さ、内容の凝縮された講義は貴重です。それを繰り返すことによって、その分厚い本の中で「何をやったらいいのか」という道筋が見えてくるんです。刑事はもちろん民事の方も大切なポイントがぎゅっと詰まっていましたね。

最後の最後、口述試験の対策まで使い倒しました。実務基礎の総論部分を何度も何度も繰り返し聴きました。特に刑事の手続きの流れなど、ドラマ仕立てになっていて分かりやすく、聴いているとすごく頭の中が整理されるんです。

薄いので何度も繰り返すことができて、重要な点だけを周回しているので大分やることを減らせたと思います。
振り返ってみると、一番取り組んだのは実務基礎かもしれないと思うくらいお世話になりました。

他にも心に残る講義はありますか?

過去問講義ですね。受講中にタイミングの関係で6期の新講座の配信を受けたのですが、これが段違いで分かりやすかったですね。これまで過去問演習をしていて腑に落ちなかったところが、ストンと腹落ちした。そんな場面が度々ありました。

今後のキャリアとメッセージ

約30年の挑戦の間、ご家族はどのように側にいてくれたのでしょう。

私が司法試験に挑戦する人間だと知った上で結婚したので、妻には一定の理解があります。

子どもは大きくなるにつれて「お父さん、何やってるんだろう」というように関心を持ってくれたようです。長年受け続けていることが分かってくると「この試験は難しそうだから、自分は受けるのやめておくか」というような雰囲気でして。

それが今回の合格で一気に考え方が変わり、今は予備試験にも積極的な気持ちになっているようです(笑)。

予備試験合格を経て、今後はどのような活動をお考えですか?

これだけ長く受験し続けると落ち慣れし過ぎて、青天の霹靂と言うか……合格して逆に狼狽えている、という部分があります。変な話、落ちる前提で組み立てていた人生プランがパタパタっと変わっている真っ只中です。

今後の活動として、まずは現在勤めている役所の中で、司法の知識で役立てる部署があればそこで頑張りたいですね。司法修習は2年ほど様子を見て、と思っています。そして修習後は弁護士としての道を歩みたいという考えです。

これから受験をする、特に社会人の方に向けてメッセージをお願いします。

私の場合、この30年のチャレンジに後悔の気持ちは一片もないんです。
予備試験を受け続けていることを家族以外に知る人はいませんでしたから、「あいつまた落ちたんだってよ」という言葉に居たたまれない気持ちになることもありませんでした。

これまで目にした合格体験記では、自分のような経歴の人のインタビューを見たことがなかったので、参考になるかは分かりません。

でも、今も受け続けている人に向けて「やめないと良いことがあるよ」と声をかけたいですね。
ゆるゆる勉強していても、30年ほどかけて受かった人がここにいますよって。

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