【目次】

具体的なケースで考える

とるべき対策

 ・対策①:勉強可能時間を増やす
 ・対策②:勉強時間中の質を高める
 ・対策③:優先順位を常に意識する

 

具体的なケースで考える

ここでは、(平日2h×5日)+(休日5h×2日)= 20h/週のケースで考えてみたいと思います。

現在(2019/7月1週目)を起点とした場合、
●来年の短答式試験まで残り約46週間
●論文式試験まで残り約52週間となります。

時間数にすると、1週間20hですので、
●短答式試験まで⇒ 920h (20h×46週間)
●論文式試験まで⇒ 1,040h (20h×52週間)となります。

来年の短答式試験までのスケジュールを考えると、
勉強可能総時間 (920h) ー 講義時間 (330h※) = 可処分時間 (590h)となります。
※1倍速での視聴と仮定

さらに、この可処分時間をもう少し細分化すると、

①基礎講座予習課題:約35h ※講義時間の30%で算出(ex.90分の授業は30分)
②論文実践講座演習:約50h ※2h×24回
③短答対策講座演習:約30h ※1h×30回
④講義の再視聴:約165h ※全講義時間数の50%で算出

を差し引いた310h(590h-280h(①+②+③+④))が自由に使える残り時間です。

そして、この時間を使って主にすべきことは下記です。
・授業の復習(テキスト, 青本, 条文, 審査基準等の読込み)
・短答過去問を解く
・論文練習

製本テキスト2冊分だけでも520ページ程ありますので、無駄なことをしている時間が全くないことがおわかりいただけると思います。

 

とるべき対策

改めて、短期合格を目指すことのハードルの高さを認識できました。これをもって、短期合格は厳しいということを言いたいわけではありませんが、何かしらの対策をとることは必要です。

時間が足りないからこそ、より強く合格を意識した勉強をしなければなりません。

以下では、考えられる対策について検討してみます。

対策①:勉強可能時間を増やす

当たり前すぎる内容ですが、合否に大きく影響するポイントです。
皆さん、通勤時間やお昼休み、帰宅後就寝までの時間等を使われているかと思いますが、他にも確保できる余地がないか再度検討してみてください。

例えば、
・残業しない日を週に1度は設ける
・絶対に断れない飲み会以外は断る
・週末の家族サービスの頻度を下げるよう家族と相談する 等

時間の確保がこれ以上は難しいようであれば、
・電車を待つ5分の時間で、スマホを見るのではなくアウトプットする
・駅から自宅までの移動中にアウトプットする
・時間が経つと曖昧になりがちな論点は、記憶を想起できるキーワードだけ紙に書き出し、よく目にする場所に貼っておく 等

5分程度の細切れ時間を使って、「アウトプット」することをお勧めします。
テキストやノートを読むのではなく、前日に勉強した内容や、苦手な内容を自分の頭の中で想起するようにします。

 

対策②:勉強時間中の質を高める

こちらも基本的なことですが、つい質の悪い時間を過ごしてしまうことはあるかと思います。

例えば、私もよくやってしまっていましたが、
・眠気を我慢しながらテキストを読もうとする
・集中できておらず、同じところを読み返す
・講義を何度も巻き戻す 等

勉強時間に囚われすぎると、いつの間にか時間をこなすことが目的となってしまい質が疎かになってしまうことがあります。

しかし、これでは本末転倒ですので、今一度質の高さに注意を向けてみてください。

私は、眠気を感じたときには何も考えず5分程目を閉じる、
インプットをやろうと思っていただけど集中力が高まらないときは、自分ノートを見返したり、前日の内容を想起したりと、簡単なアウトプットをまずやることで集中力を引き出していました。

通勤時間中に勉強されている方は多いかと思いますが、集中できているかどうか、気を付けてみてください。もし、集中してインプットできていないと感じるときは、アウトプットに切り替えてみることをお勧めします。

 

対策③:優先順位を常に意識する

復習の順序を考える

最大限の時間を確保し、質の高い時間の使い方ができていたら、後は勉強していく順番に気を付ける必要があります。
わざわざ講義を聞く順番を変える必要はもちろんありません。復習に力を入れる順番を意識します。

皆さん、「復習にかける時間」と「講義を進めるスピード」のバランスについて悩んだことはありませんでしょうか?

例えば、今日基礎講座テキスト(特許法)第1問を勉強したとします。翌日は、第1問の復習と第2問の勉強をすると思います。では、その翌日は第1問と第2問の復習をしてから、第3問の勉強をしますか?

同じ問題について、復習の回数を重ねるごとに必要な時間数は減っていくと思いますが、このように積み重ねていくと、当然ながら日を追うごとに必要勉強時間数が増えていってしまいます。

現実的には、平日の勉強可能時間が2hであれば、予習問題を解いて講義を1つ聞いたら終わってしまいますので、復習をするのであれば毎日1つの講義を進めることはできません。

まずは、全体像を大まかに把握するために基礎講義を1周聞いてみるという方法も有効ですが、注意が必要です。仮に、基礎講座を1.5倍速で全て聞いたとしても約75hかかります。

今回のケースでは、全体で920hですから、総勉強可能時間の8%を消化することになります。全体を聞き終え最初に戻ったときにほとんど内容を覚えていないということになってしまうと、8%を消化した意義が失われてしまいますのでやり方を考えなければなりません。

理想は、ある程度のスピード感を持って進めながらも、過去に勉強した内容について覚えておくということかと思います。

しかしながら、結局のところそれが容易ではないため、難関試験の勉強は難しくなります。
そこで、復習をする際に一気に全てを対象にするのではなく、順序をつけて消化するという方法が有効です。

皆さん勉強をしている中で、頭に入ってきやすい内容と、なかなか入ってこない内容があるかと思います。
まずは、思い切って頭に入ってきやすい内容だけを復習の対象にします。
そして、それらが記憶に定着した後に、飛ばしていた内容に取り掛かります。

復習に時間がかかる要因としては、
・テキストの文字数が多く読むのに時間がかかる
・一読してぱっとわからない内容は、理解をするのに時間がかかる
ということが主な理由として考えられます。

時間を減らすために、復習の質が落ちてしまうのであれば、範囲を絞ってしっかりと行った方が効果があります。
また、定着した知識を基にして、新しい内容を肉付けしていった方が記憶の関連性も作りやすく、効率的です。

 

過去問の情報も忘れずに

+αで考慮すべきが、試験合格のために優先的にやるべきことか、という視点です。

以前の記事の中でご紹介した、短答式試験の得点分析データはご確認いただけましたでしょうか。
今回はTACさんの公表データを見ながら分析したいと思います。

下記は、各科目ごとの合格者正答率が6割以上の問題とそれに対応する不合格者の平均正答率です。

 

<分析結果>

特許・実用新案

(合格者6割以上正答率問題数)
①8割以上:8問
②7割以上:3問
③6割以上:4問
計:15問
(不合格者平均正答率)
①:65.5%
②:49.7%
③:31.5%

意匠

(合格者6割以上正答率問題数)
①8割以上:4問
②7割以上:2問
③6割以上:1問
計:7問
(不合格者平均正答率)
①:65.4%
②:47.8%
③:43.8%

商標

(合格者6割以上正答率問題数)
①8割以上:2問
②7割以上:3問
③6割以上:0問
計:5問
(不合格者平均正答率)
①:39.7%
②:36.0%
③:-

条文

(合格者6割以上正答率問題数)
①8割以上:5問
②7割以上:0問
③6割以上:1問
計:6問
(不合格者平均正答率)
①8:64.6%
②7:-
③6:39.3%

著作権・不正競争

(合格者6割以上正答率問題数)
①8割以上:9問
②7割以上:1問
③6割以上:0問
計:10問
(不合格者平均正答率)
①:71.4%
②:73.2%
③:-

 

合格者の内、6割以上の人が正答できている問題を落とさなければ43点(得点率71%)になりますので、合格ラインを優に越えてきます。短答突破を目指す上ではこのあたりのラインを目標とするのがよいかと思います。

合格者の内の6割以上が正答できる問題と考えると難しいように感じてしまいますが、不合格者平均正答率をみると、科目による違いはあるものの、それぞれ3割~7割程度の人が正答できています。つまり、難易度としてすごく高いものが取れないといけないわけではないということです。

受験生全体の5割程度が取れる問題を落とさなければ、ちょうど合格基準である65%程度の得点率になります。

もし、本番までの残り時間とやるべきことの必要時間を比較して、不安に感じる方は優先順を強く意識してください。勉強可能時間数でライバルに負けてしまう場合に取り得る対策として、最も効果があると思います。

最初から全体の2,3割しか正答できそうにない論点をしっかりとやり込む必要はなく、まずは5割程度の人が正答できる論点を各科目満遍なくおさえていけばいいのです。そして、その判断には過去問が役立ちます。

過去問を解いても、最初からこの肢は押さえるべき、この肢は後回しでいい、と判断することは難しいと思います。従って、最初は出題頻度の高いテーマから手を付けるのも一つの手です。そして、数年分の過去問を解く過程で、なんとなくレベル感がわかってくると思います。

 

テーマ別出題頻度(特実)
章立て

全体は
こちら

 

コミュニティページで掲載をしていますが、今年の短答式試験を実際に受験された方の振返りとして、

①勉強時間がそもそも足りていなかった
②勉強しない時期が一定期間続いてしまった
③モチベーションの波に影響されてしまった
④直前まで危機感が持てなかった
⑤勉強方法を間違ってしまった

という順序で多くなっていました。

これらの反省点を参考にしつつ、同じ結果とならないために、残り時間を意識して危機感を持ちながら進めて行きましょう。

モチベーションの波に影響されないためには、「強制力」と「習慣化」が役立ちます。

もし、そういった環境が必要と思われる方がいらっしゃいましたらご連絡ください。
計画作成と進捗管理のお手伝いをさせていただきます。

 

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